2024/05/12

西村かおる会長 ご挨拶 5月巻頭言(2024/5/13)

 ~この春にあったこと~

早いもので、新緑が輝く5月も半ばとなりました。今年も半分近くが過ぎようとしています。あっという間に時間がたってしまう、と感じているのは私だけでしょうか。とはいえ、自然の中を走る生活をしていると、飛ぶように流れる季節も、敏感に感ずることができるのは幸せなことです。

 すでに詳細なレポートが掲載されているように、先月、前橋で山西先生叙勲のお祝いマラニックが盛大に楽しく開催されました。例年ならば、とっくに散り去っている桜が、奇跡のように長い利根川べりを満開で飾り、お天気にも恵まれ、本当にゴージャスな1日でした。自然を走ることを文化として広げることに人生をかけてきた山西先生への神様からのお祝いのように感じ、とても幸せな春爛漫日でした。

 さて、時間の流れを実感するもう一つとして、毎年4月に発刊される「ランニングの世界29号」が出ました。今回のテーマは「多様なランーあなたは?」です。世の中では、ダイバシティ、あるいは多様性の重要性が注目されていますが、今回の号には元アスリートランナーから、バリバリの市民ランナーまで26名が執筆しており、その内容は実に多様です。一つだけ共通点を挙げるとするならば、執筆者は熟年者そろいということでしょうか? 一人、一人、全く異なる人生ドラマがあると同様、ランニングについて書いても、オリエンテーリング、トレイルラン、トレーニング方法、国内外のラン、コース紹介、ランニングの歴史、スケッチランや、写真、また主催者の立場としてなど、など多彩で同じものが全くありません。今さらながら走ることは、生きる表現なのだ、と実感しました。ぜひ、ご一読いただき、あなたも表現していただければ、と願っております。





2024/04/03

西村かおる会長 ご挨拶 2024/4/4



 今シーズン最後の大会で学んだポジティブシンキングとユーモアの大切さ

今年は三寒四温がより激しいですが、それでも春本番となってきました。マラソンシーズンもそろそろ終盤です。3月24日、私は今シーズン4回目、最後のフルマラソンとして、高知県で16th 四万十川桜マラソンを走ってきました。四万十川のマラソン大会というと高知でもウルトラマラソンと思われますが、100km大会は10月です。また四万十川は長く、場所も大きく異なります。桜マラソンは土佐街道と呼ばれる上流の秘境四万十川沿いを、延々と続く桜並木の下、菜の花を見ながら走ります。このマラソン大会はともかく、雨が多い大会で、桜の開花は運しだい。私は昨年から参加しましたが、スタート時は雨、しかしすぐに曇りとなり、桜は満開という比較的ラッキーな大会でした。しかし何とか美しい晴れの清流と桜を見たいと申し込んだ今年は、数日前からずっと土砂降り。当日も土砂降りの上、雷警報も発令されていました。エントリー数1184名で、出走は828名(大会HPより)、約20%にあたる248名がキャンセルしたのもうなずけます。かくゆう私も迷ったのですが、高齢者率の高い過疎地で雨の中、運営してくださる方たちのことを考えると、ともかく出走しよう、ハーフまではともかく走ろう、と自分をふるいたたせました。

とはいえ朝5時半、高知駅始発列車の窓を容赦なく雨粒がたたきつけます。乗車中の2時間20分、雨は更に強くなり、テンションはダダ下がりでした。終点の窪川駅を降りるのは、ランナーばかり。スタートの小学校を目指して深く傘をさし、皆もくもくと歩いています。そんな中、前方に傘をささずに、カッパ姿ですでに走る格好をした2人の若い女性がいました。私が追い抜く時、二人の本当に楽しそうな、はしゃいだ声が聞こえました。「イェイ!これから長い水遊びができるぞ!やったー!」なんと、ポジティブ! 思わず笑ってしまい、その言葉で気持ちを一気に明るく切り替えてもらえ、会場に入りました。

スタート直前、大会事務局から「本日は雷警報も発令されおりますが、大会を開催することとしました。しかしコースに出れば雷を避ける避難場所はありません。皆さん、各自でご対応お願いいたします」とのアナウンス。思わず心の中で「どう対応すればいいの?」と突っ込みをいれつつも、「そうだよね。秘境と呼ばれる自然の中を走るのだから。しかし、わざわざアナウンスする?」とこれにも笑いが出ました。

 スタート直後、沿道で応援してくれていた高齢の女性が「雨でごめんねぇ!」とランナーに何度も謝っていました。驚きと笑いで思わず「大丈夫!ありがとう!」と叫んだのですが、たっぷりパワーをもらいました。

その後、緩やかなアップダウンを走っていると、私の前を走っていた中年男性が、雨の中コースに立ってくれていたスタッフに「坂道ばっかりで走りにくい!」とぶつけるように言い捨てて、走り過ぎました。私は「自然コースの大会に申し込んで、そんなこと、言う?それも魅力なのに」とビックリ。なぜか、スタッフは「ありがとうございます」と答えたのですが、その言葉は後ろを走っていた私に届きました。私も「ありがとうござます」と答えたのですが、「ネガティブは毒だ」とつくづく感じた瞬間でした。

ゴールまでずっと雨でしたが、日焼けしない、走りながらクーリングできる、お風呂に入らなくても汚れが流せる、雨にけぶる四万十川は美しい、と良いことばかりでした。おかげで疲れも汚れもさほど気にならず、着かえただけで、その夜、高知駅から同級生のコミックバンドライブに直行し、2時間お腹を抱えて大笑いし続け、本当に身も心も満たされた一日となりました。

四万十川 沈下橋(水量が増すと沈下する橋)こんな橋が四万十川にはあちこち。

夏には子どもたちがこの橋から飛び込んで遊んでいます。夏の風物詩です。


2024/02/21

西村かおる会長 ご挨拶 2024/2/22

 三寒四温の毎日、街中を走っていると、向かってくる風に梅や沈丁花の香りが運ばれてきて、思わず深呼吸する季節となりました。暖かな春日となった2月18日、今年は10回目の記念大会となった高知龍馬マランに出走しました。高知は私のふるさとでもあり、コロナ以降は東京との二拠点生活の場でもあります。私は第1回龍馬マラソンから連続出場しており、10回完走することができたことはとてもうれしいことです。

第一回大会は3000人ちょっとの参加者で、応援もとても少なく、雄大な太平洋の海沿いコースは護岸工事中で寂しい大会でしたが、年々賑わいを増し、一時期の参加者は1万人を超えました。しかし他の大会同様、コロナの影響を受け2回は中止、コロナ解禁となった今年は1万人超えを目指した大会でしたが、8000人あまりの参加でした。大会前には経済面も含め、運営の厳しさも報道されました。しかし沿道の応援人数は今まで一番多く、応援方法も工夫され、私設エイドや、バンド、スピーカーを使った音楽など、内容が豊になってきました。それは春の陽気とコロナ解禁のせいだけではなく、箱根駅伝で圧倒の優勝を飾った青山学院の陸上部選手が走ること、また記念大会ということで、子供や車いすの方が参加できるファンラン、42.195kmをペアでタスキリレーする新しい企画があったことも影響したと思います。因みに優勝は箱根で8区間賞を取った青山学院大学1年生、塩出翔太選手の2時間19分20秒でした。

応援に話をもどすと、前日には地元の新聞に参加者全員の名前が出ため、つぶさに確認してくれた同級生や、親戚などから次々と応援ラインや電話がはいり、「どこどこで応援しているから、声をかけて」と嬉しいお声かけがたくさんはいりました。10年前は一部のランナーのためだったマラソン大会が、だんだん市民のお祭りに近い大会に育ってきたと実感し、うれしかったです。

 高知龍馬マラソンのキャッチコピーは「わざわざ高知で走ろう!」です。昭和の時代には、「陸の孤島」と呼ばれた高知の名残でしょうか。それとも、事実上まだへき地から脱してしていないのか? ともかく、沿道で応援してくれる人たちからは他の大会では、ほとんど耳にすることがあまりない「わざわざ、走ってくれてありがとう、ありがとう!」「よう走ってくれた!」、また高齢の方たちは「偉い! 偉い!」という誉め言葉が、頑張れの代わりに連発されたりします。「こちらこそ、応援ありがとう!」の応酬は、ほっこりした力をもたらしてくれます。『ランニングの世界・友の会』でも、参加者同士のやりとりで、ほっこりした力が生まれるような運営をしていきたいなあ、と思いながらゴールした楽しい大会でした。ぜひ、来年はわざわざ、参加してみませんか?     西村かおる

2023/12/31

西村かおる会長 新年ご挨拶  2024/1

 新しい年が明けました。本来は「おめでとうごさいます」とご挨拶すべきところですが、今年は元旦から大地震、羽田空港航空機事故、あちこちでの大火事と連日大きな災難が続きました。まずは被害に遭われたたくさんの方々に、お見舞いを申し上げますとともに、お亡くなりになられた方々のご冥福を心からお祈りいたします。そして一日でも早く、被害に遭われた方々が平安な日常生活が過ごせることを深くお祈りいたします。

単独に災害が起こる確率は同じなのでしょうが、それにしても新年3が日に、こうも悲惨な災害が続くと、一体今年はどうなるのだろうか、と暗澹とした気持ちになります。そんなやりきれない気持ちにお正月らしさを与えてくれたのは、やはり箱根駅伝でした。

とはいえ、お雑煮やおせちを朝食として食べながら箱根駅伝を見るいつものお正月のはずが、テロップでは、揺れが続く北陸の情報が続々入ります。被災地の方々のことを考えると、自分が当たり前のお正月を迎えていることにとても申し訳ない、という気持ちを持ったのは、きっと私一人ではなかったのではないかと思います。しかし選手たちの全身全霊をかけて今を必死で走り切る姿は、そんな後ろめたさから「今、自分がある場所で精いっぱい生きる大切さ」に戻してくれました。「今、私がおせちを食べることをやめても、被災者を救えるわけではない。今はたくさん感謝しておいしく食べよう。そしてできる時がきたら、私なりのベストを尽くそう」と思い直しました。

走ることは、とてもシンプルです。でもシンプルなゆえに、それだけ奥が深く、生きることと直結し、教えてくれることがたくさんあることを再度強く感じました。

今年も皆さまと、更にランニングの世界を深めていきたいと願っております。どうぞよろしくお願いします。   西村かおる(2024年1月)

※写真は「23年富士山頂のご来光」





2023/12/30

西村かおる会長 ご挨拶 2023/12

 皆様にとって、2023年はどのような一年でしたでしょうか? コロナも5類となり、マラソン大会が日常にもどってき、当会でも、4年ぶりに忘年会を開催いたしました。

忘年会では、参加者おひとり、おひとりから一年の振り返りと最も印象に残ったことをショートスピーチしていただきました。それぞれ悲喜こもごも、笑いあり、涙あり、感動ありで、人生色々と感じる時間でした。とはいえ仲間とウォーキング・ランニングを続けることができ、そして忘年会に集うことができるということは本当に幸せなことと、皆で確認しあった大切な時間でした。

その忘年会を壁から見守っていたのは「祝 端宝中紋章 山西先生おめでとうございます」の横断幕です。今年、私たちの指導者である山西哲郎先生は上記の叙勲なさいました。山西先生の、長きにわたる健常者、障碍者の隔てないランニング指導が高く評価されてのことと思います。またその場には3年前に同じく叙勲されたランニング生理学者である山路啓司先生もご参加くださっていました。お二人は大学の先輩・後輩でずっと一緒に走り続け、同じように大学で教鞭をとり、研究し、ランニング学会を設立し、共著でたくさんの超長距離走の専門書を出版しました。そしてほぼ毎月、第一線を離れた今でもランニング大学で一緒に体を動かしていらっしゃり、私たちを指導してくださっています。青春時代から続くお二人の関係を見ながら、うらやましかったり、ほほえましかったり、何より深い尊敬の気持ちとともにランニングの持つ深さと力を見る思いです。











忘年会の最後は「五輪閉め」といって、指の1本から合わせはじめ、2本、3本と順番に合わせ、最後は5本で大きな拍手と同時に飛び上がる閉めで飾りました。笑いに包まれた閉めでした。終わりよければ、全て良し!皆様の良い年末をお祈りしております。西村かおる(2023年12月)

2023/12/03

ランニングの世界 エッセイ 「山西哲郎の季節を走る」 2023年12月3日

  季節は巡る。

凍寒の前触れを、白き衣替えをした谷川岳からの風が教えてくれる前橋の朝。

 僕はこの風景がお気に入りで、さっそく、谷川岳の方向に向かい歩き、ゆっくり走ると、朝ランが大好きな僕の歩みは自然美の虜になってしまう。そして、昔のことの思い出が浮かんでくる。

 故郷に戻って、走ろうとすると、母から、「朝からそんな無理をしない方がいいよ」と、玄関で言われることがしばしば。1日に朝と午後の二回ランニングの習慣づいた僕には、何ら効果もなし。母が亡くなった葬儀の朝も走り、妹から「お兄さんは喪主でしょ」言われる。そのことを、今でも忘れられないが、走ることが単に健康やトレーニングのためではなく、その日の朝、周りの自然の様相と僕の心身を五感で感じる楽しさがあったからである。

 今から、50年前、東京の大学から、前橋に位置する大学に移る決意をしたのも、すそ野の長い雄大な赤城山の山並みに一目ぼれをしたからである。

 全国で最高温度の40度を記録した今年の前橋の夏から秋、そして初冬へと移る山々。緑から次第に紅色へと頂上から裾野に向かっての色彩下りは、例年以上の美の衣替えとなる。

 その感覚は、夕陽と重なるとスポットライトを浴びた様に一段と紅色が増し、僕の気分は画家のごとし。散歩者とすれ違う時、「奇麗な風景になりましたね」の合言葉が互いに生じてくる。

 今朝のジョギングの感覚は脳をより活性化させ、「明日は山に登ってみよう」という体の言葉を創り出す。美は力なりと・・



2022/06/20

ランニングエッセイ 「歩く風 走る風」   by 山西哲郎

  歩く風 走る風     

 じっとしているときに感じない風を 走っていると感じる心地よさ。そんな季節がやってきた。

 僕が風の王国とよぶ上州群馬の前橋。しかし、それは冬の季節の風物詩のこと。北の福島、新潟の白い山並みから、関東平野の北限である大地に吹き下るかぜは、まるで、飛行場に着陸する飛行機の勢いである。

 そのような時、南に向かう道を走れば、スピードアップなって追い風走。風が嫌な時は、林や森のトレイル道は風なしだから、走って風となる。

 やがて、花香る季になれば、風は穏やか。花の香りと美しさに魅せられて、風景の一員となってしまい走るスピードは自然と低下する。でも、スロージョギングか歩きになり2時間、3時間と美の旅する人となり。それが体の生理的スタミナばかりか、心理的にもスタミナがついてくる。スタミナは時間の経過を楽しみや喜びでついてくるのだ。

 でも、やがて夏に近づけば風ゆっくり穏やかになり止まってしまう。そこで、歩いても遅すぎて風を感じず、むしろ暑さを感じるだけ。

 そのような時、5月と6月にランニングの世界主催の「ランニング大学」を新橋からモノレールでかけた有明で行う。そこに有明西ふ頭公園がある。川に沿った道では風を感じ、歩くだけで海風のさわやかさ。

 走れば一段と風強し。僕のそばを通り過ぎる自転車はもっともっと快風の世界なり。

 頑張って速く走ろうとするのではなく、歩き、走り、そしてバイクで進む感覚を体全身で味わえば楽しみになることを季節が教えてくれるのだ。

 かつて、オーストラリアのシドニーの海岸であるボンダイビーチで、泳いでいる人だけではなく、海辺を素足で走っている多くの人に驚いたことがある。きっと、海風に触れながら楽しいのだと思い、僕は日本に帰国して、さっそく海辺を素足で海水に触れ、目はどこまでも広がる海を眺めランナーズハイを感じてしまった。

 今年の夏は、風を求めて楽しく過ごしたし。