2016/01/23

ランニングの世界・友の会の皆様 by 山西哲郎

  新年の始まりから、厳冬の季。いかなる走りでしょうか。

 「今年こそ、毎日休まず走ってみよう」と決意した方も多いではありませんか。しかし、「元旦から17日間は走り続けたのですが、あの雪で3日間休んでしまいました」と、少々淋しげな表情で語る前橋の走友もいます。「そうか」雪のほとんど降らない乾いた大地の群馬では、雪降れば、走れない→休みだという公式が生まれてくるのです。そこで、この3日前、北海道に行ってきた僕には、ニコリとスマイルで説き始めました(退職してもやはり、心は教師なのですね)

 「札幌の夜の街をほろ酔い気分で歩いていた時、雪と氷の道で滑った時、歩き方が悪いんですよ、埼玉の熊谷育ちの教え子が自慢げに言うのです。踵から着地しては滑るのです。歩幅を縮めて足裏全体で着地して、足先の方でキックするのです。やってみれば、なるほど足を滑らすこともなく、スタスタと歩けるではありませんか。これは、北の国の人たちがつくりあげた『雪道歩き技法』なんですね」

 その翌朝、札幌駅前の北海道大学のキャンパスに出かけ、除雪された歩道の雪道を『雪道歩き技法』で歩きました。そして、同じような技法で走ってみれば走れるのです。いつもよりゆっくりとしたスピードですが、リズミカルに快適。いつしか白い風景の一員となった気分で新鮮なモーニングランになったのです。

 前橋の自宅に帰れば、20センチ以上の雪。そこで、近くの広いグランド出かけて、北海道で身につけた走る技法を生かしてモーニングランをしようと張り切りました。グランドは芝生の1周400mと広いのですが、今朝は真っ白。走れないと思いつつ走ってみれば雪が氷点下の気温でやや固くなり、まるで砂のようではありませんか。いや、砂浜よりは粒が大きいので、シューズでも走りやすいのです。着地は足裏全体、キックはつま先の方と切り分けて足を動かせればスローランニングができるではありませんか。しだいに体は暖かく、雪の小さな粒が朝陽で輝き、体を起こしてみれば遠くに谷川岳や三国連峰の澄み切った白色の峰が見え、身も心も弾み、時間は5分、10分と延びていきました。

 自然がたとえ厳しくても、走者が新しい走りを探そうとすれば、新しい感覚と技法を与えてくれると嬉しくなってきました。  今年もこんな年にしたいものです。(2016.1.24記) 


写真は雪の北海道大学構内